日本人は、契約書の重要性の認識が他の国に比べて低いといえます。
それは、日本人が取引するときに、相手方との信頼関係を前提にしていることから、わざわざ契約書を作成する意義に乏しいと考えることに起因します。
日本は、世界でも有数の経済大国であり、国内だけでも十分な取引量が確保できます。
国内だけの契約であれば、同じ日本人ということで、ベースとなる考え方が同じなので、問題は少ないかもしれません。
ですが、他国との取引では、そうはいきません。
国際取引・海外取引で使用される英文契約書がなぜ重要かというと、日本とは逆に、相手方への不信から出発しているからなのです。
ですので、不信を前提としているからこそ、英文契約書で書かれている内容が全てとなりますので、細かく規定を置き、長くなるのです。
国際取引・海外取引で言う、契約書の概念は日本で考えるよりも、相当深い意義を有する概念なのです。
以下、英文契約書と、国内での日本語契約書との違いについて、見ていきましょう。
上記でも、言及しましたが、日本は世界有数の経済大国であり、国内の取引量だけでも相当な規模を誇ります。
その規模は、関西圏の経済規模とカナダ一国のGDPがほぼ同じ規模だということからも分かると思います。
そのようなことから、国内では、同じ法律、同じ商習慣を持つ者同士の契約になりますので、かなりの部分をお互いの信頼関係に依拠することになります。
ですので、現在でも、契約書を作成せずに取引を行う企業は多いと思われます。
他方、国際取引・海外取引では、元々、法律や言語、商習慣の違う者同士が取引しますので、相手方への信頼は皆無であり、その点からいえば、性悪説に立脚しているともいえます。
そのため、口約束等は全て排除され、英文契約書等の最終書面に記載されたことのみが、契約内容となります。
ですので、契約交渉は熾烈を極め、自社の契約書を採用するようにやり合うことから、契約書式上の戦争とまで、揶揄されています。
これからより一層、グローバル化が進むと考えられますので、日本の企業も英文契約書の作成や、契約交渉術のスキルを上げて行く必要があると思われます。